バリ、最終日。今日は4つめのスパ、空港近くの「ラヴィ」に行く日だ。午前中、最後にウブドの街を散策した後、1時頃にホテルを出てジンバランに向かった。ここのスパは、スパと言うより日本風のマッサージ屋さんだ。オイルはいっさい使わないので、帰国前の時間を過ごすにはもってこいだという。

中に入ると、おそろしく流暢な日本語をしゃべるスタッフたちが迎えてくださった。日本の、そのへんの若者よりもずっと上品で丁寧な日本語である。受付は、お客さんでいっぱいだった。今は雨期で観光客が少なく、あのマヤウブドですらあまりお客がいなかったというのに、この盛況ぶり。
ただし、お客は日本人しかいない。ほとんど日本人専用といった雰囲気である。
ここで問診票に記入し、重点的にマッサージしてほしい場所に○、触ってほしくない場所に×をつける。
今日のメニューはパッケージAというもので、1時間のリフレクソロジーと1時間の全身マッサージである。右の貴重品入れに貴重品を入れたあと、お着替え部屋で白い上下の施術着に着替えた。その後担当さんと顔合わせである。私の担当さんは、可愛いおねえさん。夫の担当さんは感じのいい男性だ。しかし、夫はぶつぶつ言っている。「他の人は男でも女の子が担当やのに、なんで俺だけ男なん?」
それはたぶん、あなたの体型が、あまりにメタボ 立派だからじゃないのかな? まだ悲しそうにブツブツ言ってる夫と共に、まずはリフレクソロジールームに入った。大型のリクライニング式ベッドが並んでおり、カーテンでしきるようになっている。内容は、日本で受けるのとあまり変わらない。隣で夫がしきりに「痛い痛い」と騒いでおり、お兄さんが「ここは、大腸ですねー。ここは腎臓。ははは、痛いですか~」などという声が聞こえる。かわいそうに夫は全身悪いところだらけのようだ。やはり、慣れない海外勤務で疲れているにちがいない。気の毒に。
私はどこも痛いところはなかった。せいぜい痛気持ちいいというレベルである。なんだか、申し訳ない気分だ。1時間、じっくりじっくりリフレクソロジーを受け、今度は場所を変えて、全身マッサージ。薄暗い部屋ににマットがたくさん敷いてあり、またカーテンでしきられている。ここで、日本の温泉宿のようにマッサージをしてもらうのだ。
気持ちいいが、特に目新しいものではないなあと思っていると、担当のお姉さんが「お顔のマッサージもしてよろしいですか?」と聞く。なんだろうと思いつつ「はい」と言うと、お姉さんは正座して、私の頭を自分の膝に乗っけると、やさしく顔のツボを押し始めた。きゃー。膝枕。こんなことまでしてもらえるなんて、嬉し恥ずかしである。顔にもツボがあるなんて、知らなかったし。 
どうやら隣のブースで、夫も同じことをされているようである。おっさんが、お兄さんの膝枕……。なんだか倒錯的で、あまり見たくない光景である。きっと夫は、「やっぱり女の子がよかったよお~」と涙目になっているにちがいない。1時間の全身マッサージもいよいよ終盤、ストレッチに入る。後ろから腕や背中をぐいぐいっと伸ばしてくれていい気持ち。そして最後は、なんとお姉さんが私の体の下に入り、えびぞりにそらせてフィニッシュ! ぎゃー、プロレス技みたいだ。夫の担当が男性であるわけが、よくわかった。体重90キロの夫にこの技をかけるには、女の子じゃ無理だもん。
その後、お姉さんは「お疲れさまでした」と枕元に正座して、深々と日本式のお辞儀をする。いえいえ、お疲れになったのはそっちでしょうに。とっても礼儀正しい、ラヴィのスタッフさんたちでした。(写真は私ではありません)
すべて終了して受付にもどり、飲み物など頂いてからお金を払う。2時間でお一人様4050円。たいへんお得感がある。しかし、夫と開口一番「疲れた~」と言ってしまったのはなぜ? たぶん、これは揉まれ疲れだと思う。昨日も一昨日も揉まれ揉まれて、十分リラックスしたにもかかわらず、今日また2時間マッサージである。体が、もうこれ以上は結構です~~と叫んでいるような気がする。決して、ここのマッサージが悪いのではない。もし、初日に疲れた体でここに来ていたら、どれほど気持ちよかっただろう。
揉まれ疲れのせいか、頭もぼーっとし、あやうくスーツケースを忘れるところであった。(思い出して本当によかった(^_^;)) ここの車で空港まで送ってもらい、夫はジャカルタ行きの国内線に、私はシンガポール行きの国際線に、それぞれ乗り込んだのだった。さよならバリ島、また来るよ。
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